「それ、食べたら死ぬよ。」
目の前の男は言う。
僕はすこしだけ微笑んでそれを食べ始めた。
今日僕は自分へのささやかなご褒美として
2ヶ月前までには
週に二回は行っていたラーメン屋を訪れた。
久しぶりに顔をだした僕を見て
大将はおやっ
という顔で迎えてくれた。
焼き豚5枚ラーメン
の券を買いひとこと添えて大将に渡した。
「麺は少しにしてください。」
いつもは麺大盛を頼んでいた僕が麺を少しと言ったので、
大将は驚いた顔をした。
ここのラーメンは普通盛でも普通のラーメン屋の二倍以上ある。
だから大盛だと普通のラーメン屋の4倍はある。
そして焼き豚は一枚の厚さが普通の焼き豚の
4倍はあるので
初めてきたお客さんは焼き豚を二枚食べただけでもお腹に重くのしかかる。
ラーメンが出来て僕の前に置くときに大将は聞いた。
「お客さんどうしたの?」
僕は自分が糖尿病になってしまったことを告げた。
僕の目の前には
焼き豚が5枚乗った脂ぎったラーメンがある。
大将は僕に言った。
「お客さん、それを食べたら死ぬよ。」
その声が大きかったので
事情のわからない客が驚いてこちらを見ていた。
ここの大将はもと大相撲の関取だ。
おそらく身近にたくさんの糖尿病のひとがいるのだろう。
糖尿病でケアをしなくて死んだひともいるのだろう。
今はラーメン屋になった大将だって
いまだに僕よりもはるかに体格が大きい。
だから大将の言葉には
ものすごく気持ちが込められていた。
僕は大丈夫ですよ
と言って目の前のラーメンに手を伸ばした。
ぶ厚い焼き豚を
5枚
と玉子
山盛りの野菜
を食べたらお腹いっぱいになった。
麺は少しとお願いしたけど
普通のラーメン屋の麺よりも量があった。
僕は体のことを考えて
麺はほんの少しだけ食べて
ごめんなさいと謝ってカウンターの上に置いた。
糖質制限食においては
糖質や炭水化物さえとらなければ
大丈夫なのだ。
ただし世間は昔からの知識が蔓延しているので
高カロリーがいけないと思いこんでいる。
僕にとってはごはん一杯のほうが
肉1キロよりもからだには悪いのだ。
久しぶりのラーメンはうまかった。
でも糖質制限で食べることが出来るのは
ラーメン
くらいなものだ。
カレーはルーもごはんもダメだし
焼きそばは丸ごとダメ
お好み焼きはなかの肉だけをつついて食べることになるし
そばやうどんもダメ
さて
次の自分へのご褒美はなににしようかな?
糖質制限しているからといっても
女性に関しては脂っこいのはダメだなあ。
余談ですが。


